金木犀

 

 

街中懐かしい香りに包まれて、とても幸せな気分になれる

季節になりました。金木犀の香りは私に幸せを運んでくれると

いつも信じていたのです。だからこの季節はいつもより

多く街中を散策しています。いつもの道を歩いていて

ある家の前で足が止まってしまいました。

そこは、私よりも十歳くらい年上の方でしたが、歌が上手で、

良くコロコロと笑う明るい人の住んでいた家でした。

一人暮らしだったので数年前に施設に入られたとは聞いて

いましたが、主を失った家に夏みかんが一つなっていました。

季節外れに、たった一つ残った夏みかんが、なんとも侘しく

彼女の姿と重なって、楽しいはずの散策が、今朝は悲しい

現実を見て、いずれは我が身かと人生を考えさせられました。

最近は何故か、私もロマンティストになったようで笑っちゃいますね

 

主なき 庭先に一つ 夏みかん 残りて揺るる 秋だとゆふに

 

 

 

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